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2017.07.07
中学校3年生になって、知り合いのお姉さんが、宝塚を受験するために、大阪にある受験スクールで夏期講習を受けたという情報を得ました。スクールというものが、どんなことを教えてくれるのか、どんなところなのか知らなかったので、すぐにそのスクールに連絡をとり、体験に行ってみました。
住んでいるのが福岡県だったため、新幹線を使って到着までは3時間くらい。スクールに着くと、まずは、主宰の先生とお話をし、レッスンの準備にかかりました。
スクールの体験とはいえ、宝塚の近くに行くことができるワクワク感で、おしゃれ団子にして行った私。更衣室に入ると、スクール生をまとめているお姉さんに、ジェルとスプレーで、あっという間に完璧なお団子に変えられてしまいました。笑
そして、そのお団子は、私の知っているお団子とは少し違っていました。ネットを使わないお団子。貝のような形にみえることから貝団子と言われています。貝団子の作り方は、まずは、普通のお団子と同じくポニーテールを作って、尻尾の先をゴムで結び、内側にクルクル入れこんでヘアピンでしっかり留めます。
劇団では、ほとんどの娘役が、この貝団子にしています。普通のお団子と違って、ポニーテールのゴムが上に出ているため、かつらが引っかけやすく、ヘアピンで留めているので、お団子が崩れにくいのです。
その日は、バレエのレッスンを体験しました。特別難しいことをするということはありませんでしたが、普通のバレエ教室と違っていたところがいくつかありました。
①足をすごく高くあげること
②ピルエットを3回以上回ること
③常に歯を見せた笑顔でいること
④体重を表に記入していること
⑤大きな声で挨拶すること
⑥怒られること
あげるとキリがないのですが、①グランバットマンなど、ほとんどの人が耳の横まで足が上がっていました。今まで、骨盤がずれないように、肩の高さくらいでいいから基本をしっかりと!と教えられていたので驚きました。
この時思ったのは、受験スクールというのは、基礎ではなく受験のための「見せ方」を教えてくれる場所だということです。この時点では足はあがりませんでしたが、私には、短期集中でも、今まで基礎を大切に積み上げてきたことに自信がわきました。
②普通のバレエ教室に通っていると、ピルエットで3回以上の回転を求められることは少ないと思います。受験スクールでは、フロアレッスンで、パッセから始まって1回転、2回転、3回転、それ以上!と、どんどん回転数を上げるレッスンがありました。初めは「本気で言っているのかな?」と半信半疑でしたが、必死で回っている皆を見て、回れるか回れないかではなく、回ろうとすることが大切なのだと分かりました。
試験でピルエットは確実に出てきますので、本番で2回転を完璧に回ろうと思ったら、3回転できるように練習しておくと余裕が生まれますよね。
③これは一番驚いたことではないでしょうか。地元でレッスンしていたときは、ほぼ真顔でレッスンしていましたので、バーレッスンから歯を見せて笑うことにはとても抵抗がありましたし、やろうと思ってもいつの間にか笑顔が消えてしまっていて、先生に指摘されて気づくことが何度もありました。
特に、辛いキープや早いパの時は、笑顔どころではありませんでした。なぜ、ここまで笑顔が必要なのか考えたところ、明るく元気に見える→やる気があるように見える→普段から練習しておくことで、辛いときも緊張したときも、自然と笑顔になる→目をうばわれる・・・かなと思います。
笑顔なんて簡単だと思うかもしれませんが、意外と出来ていないものなので、動画に撮ってチェックしてみるのもいいかもしれません。
④受験スクールでは、先生が毎日、受験生の体重をチェックして、重い子には「太い!」と注意していました。控え室では、皆サラダばかり食べていた記憶があります。私自身は、比較的痩せ形であったため、特に注意されることはありませんでしたが、ダイエットのしすぎで笑顔をつくるのも大変だった時期があります。このことについては、また書きたいと思います。
⑤中学生、高校生のときは、大きな声で挨拶なんて恥ずかしい時期だと思います。おしゃれや格好つけたい年頃ですし、私も学校では、スカートを短くしたり、当時流行っていたルーズソックスを履いてみたり、校則違反で先生に追いかけられたこともあります。笑
皆さんはそこまでではないかもしれませんが、運動部などに入っている人でなければ、ほとんど、大きな声で挨拶をするような機会はないように思います。私はありませんでしたので、受験生が教室に入るときに、誰もいない教室に向かって、大きな声で「おはようございます!」と挨拶をしたときはビックリしましたし、いざ、自分がやるとなると、ドアの前で深呼吸をして覚悟を決めるくらい緊張しました。その他にも、レッスンの始まりや終わりに皆で挨拶をしますが、一人で大きな声を出すというのは、意外と勇気がいるものです。
⑥普段、習い事で怒られることはあまりないと思います。受験スクールでは、皆のやる気が感じられなかったり、出来なければならないことが出来ないと、本気で怒られます。
どうでもいい存在なら、先生も嫌われたり悪者になりたくないので怒ったりしません。怒られるということは、それだけ受験生のことを思って注意して下さっている証拠です。ということに気づくには時間がかかりました。
体験の段階で、色んな衝撃を受けましたが、毎年何人もの合格者を出しているスクールでしたので、信じて入会することにしました。